スリランカ、デフォルト。シナとインドが綱引き
スリランカが混迷、食料も燃料もない国民は、各地でデモだ。
スリランカ、デフォルト状態に 中銀総裁が表明 国債利払いせず5/20(金) 7:34配信
経済危機に直面しているスリランカ中央銀行のウィーラシンハ総裁は19日、「債権者からみれば、デフォルト(債務不履行)と見なせるだろう」と述べ、同国がデフォルト状態に陥ったとの認識を表明した。
欧米メディアが伝えた。スリランカは18日に支払い猶予期限を迎えた一部国債の利払いを実施しなかった。
スリランカ中銀は債務再編計画をほぼ固めており、週内にも政府に提出するという。国際通貨基金(IMF)の支援の下で、経済、財政の立て直しを図る意向だ。IMFのライス報道官は19日の会見で、同国当局と金融支援に関する協議を24日まで続けると語った。
スリランカはインド半島の南東にポーク海峡を隔てて位置する島国だ。旧国名はセイロン、首都はコロンボ。かつてはイギリス植民地で、特産はもちろんセイロンティー。スタートレックのピカード船長の好物はアールグレイである。日本では桃太郎の「鬼ヶ島」のモデルとする説がある。
同国はWW2後の1948年に独立、民族構成は、インド系ヒンズー教徒のタミル人と仏教徒のシンハラ人(「ウッキーさんだ!」)で、シンハラ人が国民の3/4を占める多数派になる。両民族は1983年から2009年まで長期の内戦へ突入した。
内戦終了後は当然、株価は急騰し、当時、インターネット上で日本人投資家の間でも話題になったのは記憶に新しい。わざわざコロンボまで行って証券口座を開設し、大儲けした日本人投資家もいた。…あれからもう10年以上経ったのだ。"Time flies.・・・"
そして、今、スリランカは再び混乱している。政権中枢がシナマネーで腐敗し、過度な借金で巨大インフラ投資をやり続けた結果の経済危機だ。今年4月、首都コロンボで狂乱物価や物資不足に抗議するデモが発生、デモは観光都市キャンディーなど全国へ拡大した。以前、私はキャンディーまで旅行の目的で交通機関など詳しくしらべたことがあるのが懐かしい。(結局、行かなかったが。)
現在のスリランカは外貨準備が枯渇。元々、食料・資源は輸入頼りだが物資を購入する外貨がない。政府側は観光業を壊滅させた新型コロナへ責任を転嫁するが、パンデミック前の2019年に発生した自爆爆弾テロ事件以後、観光客はほとんど見当たらなくなっていた。
5月17日、政府は暴動頻発で国中が無秩序状態に陥っていること、首相が「ガソリンはあと一日でなくなる」と公式に認める声明を出した。燃料、食品、医薬品の輸入が止まり、ガス輸送は軍が警護しているのが常態だ。停電は一日平均で15時間。経済活動は事実上とまっている。
2009年の内戦終了後、スリランカは輸出振興をせず、恒常的な貿易赤字が発生していた。にもかかわらず、海外(シナなど)からの借金で、不必要な大規模インフラプロジェクトへ巨大投資した。今回のスリランカ経済危機で、コロンボ港ターミナル工事はすでに数年、進捗していない。ハンバントタ港が中国の軍事基地(99年租借)にとられたように、いずれ首都コロンボ周辺のインフラも中国の99年租借となるならば、スリランカ人の工事への熱意がなくなるのも当然だろう。
2019年末、スリランカの外貨準備は76億ドルほどだった。しかし、2020年3月には19.3億ドルへ減少、現在はほぼ枯渇している。
政府は外貨減を防ぐため、農家の肥料輸入を禁止したが、そのため、農業収穫は激減した。化学肥料のあるなしで収穫は通常、3-5倍の差がでる。なお、化学肥料の原料の窒素(尿素)などは、天然ガスから組成する。そして、日本は肥料のほぼ100%を輸入に依存している。
スリランカ政府は凶作のため、食料を緊急輸入したが、外貨不足はさらに悪化した。
IMFの3月レポートによれば、肥料輸入禁止策によってお茶・ゴムなどの商品作物(cash crop)が大きな被害を被ったという。
その後、政府は生活必需品以外の輸入を全面禁止し、同国通貨ルピーの下落を容認する政策を採ったため、通貨ルピーは今年Q1で約30%減価した。慌てた政府はルピー紙幣を大量印刷したが、これがさらに通貨ルピーの減価、インフレに拍車をかけた。
スリランカ政府の海外からの借金は510億ドル程度で、70億ドル/年の利子を支払う必要がある。今年4月、政府は7800万ドルの返済をフェイルし、独立後初のデフォルトとなった。かつて、麻生財相がシナの融資を「サラ金多重債務」と批判したのを思い出す。
一方、インドはスリランカがシナに一方的に支配されるのを危惧する。インドは、スリランカへ19億ドルの融資枠を提供、必需品購入のための緊急支援として15億ドルを融資した。6月には肥料など物資援助も実施する。
現在、スリランカ政府はIMFの緊急援助を要請中。しかし、IMFの方は、例の如く、融資条件に「金利引き上げ」と「増税」を要求している。スリランカ国民には厳しい選択だ。
スリランカへ多額の融資をしているシナは、通貨ルピーと人民元のスワップ協定を締結しているが、スリランカがIMFから融資を得るのは「不快」だ。「余計な口をだすな」ということだ。
中国にはコロンボ沖合に人工島をつくって「南アジアのドバイ」として機能させ、国際会議場、リゾートホテル、高層ビル、タワマン、テーマパークを造成し、国際金融センターを構築するという青写真がある。ところが、激しい暴動と戒厳令で人工島の埋め立て工事だけは完了したが、更地のまま放置。
スリランカでは、マヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任し、ウィクレミンシンハ首相が六度目の登場となった。新首相は民衆の声を背に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の辞任を要求している。ゴダバヤはマヒンダの実弟。内戦時から数十年間、事実上、スリランカ統治をし、シナと癒着してきたラジャパスカ・ファミリーへの民衆の不満は爆発寸前だ。
スリランカ、デフォルト状態に 中銀総裁が表明 国債利払いせず5/20(金) 7:34配信
経済危機に直面しているスリランカ中央銀行のウィーラシンハ総裁は19日、「債権者からみれば、デフォルト(債務不履行)と見なせるだろう」と述べ、同国がデフォルト状態に陥ったとの認識を表明した。
欧米メディアが伝えた。スリランカは18日に支払い猶予期限を迎えた一部国債の利払いを実施しなかった。
スリランカ中銀は債務再編計画をほぼ固めており、週内にも政府に提出するという。国際通貨基金(IMF)の支援の下で、経済、財政の立て直しを図る意向だ。IMFのライス報道官は19日の会見で、同国当局と金融支援に関する協議を24日まで続けると語った。
スリランカはインド半島の南東にポーク海峡を隔てて位置する島国だ。旧国名はセイロン、首都はコロンボ。かつてはイギリス植民地で、特産はもちろんセイロンティー。スタートレックのピカード船長の好物はアールグレイである。日本では桃太郎の「鬼ヶ島」のモデルとする説がある。
同国はWW2後の1948年に独立、民族構成は、インド系ヒンズー教徒のタミル人と仏教徒のシンハラ人(「ウッキーさんだ!」)で、シンハラ人が国民の3/4を占める多数派になる。両民族は1983年から2009年まで長期の内戦へ突入した。
内戦終了後は当然、株価は急騰し、当時、インターネット上で日本人投資家の間でも話題になったのは記憶に新しい。わざわざコロンボまで行って証券口座を開設し、大儲けした日本人投資家もいた。…あれからもう10年以上経ったのだ。"Time flies.・・・"
そして、今、スリランカは再び混乱している。政権中枢がシナマネーで腐敗し、過度な借金で巨大インフラ投資をやり続けた結果の経済危機だ。今年4月、首都コロンボで狂乱物価や物資不足に抗議するデモが発生、デモは観光都市キャンディーなど全国へ拡大した。以前、私はキャンディーまで旅行の目的で交通機関など詳しくしらべたことがあるのが懐かしい。(結局、行かなかったが。)
現在のスリランカは外貨準備が枯渇。元々、食料・資源は輸入頼りだが物資を購入する外貨がない。政府側は観光業を壊滅させた新型コロナへ責任を転嫁するが、パンデミック前の2019年に発生した自爆爆弾テロ事件以後、観光客はほとんど見当たらなくなっていた。
5月17日、政府は暴動頻発で国中が無秩序状態に陥っていること、首相が「ガソリンはあと一日でなくなる」と公式に認める声明を出した。燃料、食品、医薬品の輸入が止まり、ガス輸送は軍が警護しているのが常態だ。停電は一日平均で15時間。経済活動は事実上とまっている。
2009年の内戦終了後、スリランカは輸出振興をせず、恒常的な貿易赤字が発生していた。にもかかわらず、海外(シナなど)からの借金で、不必要な大規模インフラプロジェクトへ巨大投資した。今回のスリランカ経済危機で、コロンボ港ターミナル工事はすでに数年、進捗していない。ハンバントタ港が中国の軍事基地(99年租借)にとられたように、いずれ首都コロンボ周辺のインフラも中国の99年租借となるならば、スリランカ人の工事への熱意がなくなるのも当然だろう。
2019年末、スリランカの外貨準備は76億ドルほどだった。しかし、2020年3月には19.3億ドルへ減少、現在はほぼ枯渇している。
政府は外貨減を防ぐため、農家の肥料輸入を禁止したが、そのため、農業収穫は激減した。化学肥料のあるなしで収穫は通常、3-5倍の差がでる。なお、化学肥料の原料の窒素(尿素)などは、天然ガスから組成する。そして、日本は肥料のほぼ100%を輸入に依存している。
スリランカ政府は凶作のため、食料を緊急輸入したが、外貨不足はさらに悪化した。
IMFの3月レポートによれば、肥料輸入禁止策によってお茶・ゴムなどの商品作物(cash crop)が大きな被害を被ったという。
その後、政府は生活必需品以外の輸入を全面禁止し、同国通貨ルピーの下落を容認する政策を採ったため、通貨ルピーは今年Q1で約30%減価した。慌てた政府はルピー紙幣を大量印刷したが、これがさらに通貨ルピーの減価、インフレに拍車をかけた。
スリランカ政府の海外からの借金は510億ドル程度で、70億ドル/年の利子を支払う必要がある。今年4月、政府は7800万ドルの返済をフェイルし、独立後初のデフォルトとなった。かつて、麻生財相がシナの融資を「サラ金多重債務」と批判したのを思い出す。
一方、インドはスリランカがシナに一方的に支配されるのを危惧する。インドは、スリランカへ19億ドルの融資枠を提供、必需品購入のための緊急支援として15億ドルを融資した。6月には肥料など物資援助も実施する。
現在、スリランカ政府はIMFの緊急援助を要請中。しかし、IMFの方は、例の如く、融資条件に「金利引き上げ」と「増税」を要求している。スリランカ国民には厳しい選択だ。
スリランカへ多額の融資をしているシナは、通貨ルピーと人民元のスワップ協定を締結しているが、スリランカがIMFから融資を得るのは「不快」だ。「余計な口をだすな」ということだ。
中国にはコロンボ沖合に人工島をつくって「南アジアのドバイ」として機能させ、国際会議場、リゾートホテル、高層ビル、タワマン、テーマパークを造成し、国際金融センターを構築するという青写真がある。ところが、激しい暴動と戒厳令で人工島の埋め立て工事だけは完了したが、更地のまま放置。
スリランカでは、マヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任し、ウィクレミンシンハ首相が六度目の登場となった。新首相は民衆の声を背に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の辞任を要求している。ゴダバヤはマヒンダの実弟。内戦時から数十年間、事実上、スリランカ統治をし、シナと癒着してきたラジャパスカ・ファミリーへの民衆の不満は爆発寸前だ。
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- NINJA300 - 2022年05月28日 09:33:58
幕末の戦争は、南北戦争で使った中古銃剣の在庫を使用した。頭が良い連中だ。時代を超えて、同じことが起こる。
今は、ウクライナへ軍事顧問団を送り、ウクライナ男性を戦地へ送り、日本から借款させて、武器購入費を回収する。LOL
一方のロシアはスリランカへ原油支援。
「スリランカにロシア産原油 経済危機、両国の利害一致
5/27(金) 21:33配信
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共同通信
灯油を求めてガソリンスタンドの近くで座り込む女性たち=26日、スリランカ・コロンボ(AP=共同)
【ニューデリー共同】経済危機に陥っているスリランカがロシア産原油の供給を受けることが27日、分かった。スリランカは外貨不足で原油の輸入が滞る一方、ウクライナ侵攻による欧米の経済制裁で輸出先の一部を失ったロシアと利害が一致したもようだ。米ブルームバーグ通信が報じた。
制裁強化でロシアを「世界経済から孤立させる」 G7、共同声明を採択
ただスリランカがどのように原油代を支払うかは不明。同国に一つしかない製油所は2カ月以上稼働していなかったが、28日にも製油を再開する予定という。
スリランカの経済危機は、中国などへの対外債務が膨張したところに、コロナ禍が観光業を直撃したのが主な要因。4月に対外債務の支払いの一時停止を発表した。」