「ロレックスチュードル」について

「ロレックス」は誰もが知る(スイス)ブランドだが、「チュードル」は「ロレックス」ほど知られていない。
理由は、日本がハイエンド市場だったからだ。
日本にはチュードル社の正規代理店は無いが、ロレックス社は丸の内にも大阪にも支店があるし、サービスセンターもある。
つい最近(4-5年前)まで、米国にもチュードルの正規代理店はなく、米国でのブランド浸透度は低かった。ところが、いまの米国では新チュードル社による大キャンペーンが効いて、ロレックス、オメガに次ぐ知名度のブランドとなっている。その「チュードル」について以下にまとめてみた。

そもそも1999年後半(おそらく1999年)まで、チュードルの腕時計はロレックスにより生産されていた。つまり、チュードルはロレックスの廉価バージョンを扱うブランドだった。
例えれば、80年代のバブル日本には野村證券という「バカ」の集合体といえる大証券会社があったが、彼らは「個人客をゴミ」と呼んでいた。「ゴミ」を扱うと、その会社のブランド価値が下がる、効率が悪くなるのだ。また、スイスでは、プライベートバンク(PB)というのがあって100万ドル以上の顧客を扱うPB、1000万ドル以上の顧客を扱うPBとPBのなかにランク分けがある。
ロレックス社は「ロレックス」のブランドを大事にするために、「ゲーム理論」を背景に廉価品を「チュードル」というブランドで販売していたわけである。「すかいらーく」に対する、シナ野菜山盛りの「ガスト」と思えばよい。

ここでは混乱を避けるため、1999年後半(おそらく1999年)までのチュードルを「ロレックスチュードル」、それ以降の独立したチュードルを「新チュードル」と呼ぶことにする。なお、英語では”TUDOR”を「チューダー」と発音する。「ロレックスチュードル」の当初の販売ターゲットがイギリス中間層だったため、ロレックス社がイギリス人に親しまれやすいイングランド王国(1485年 - 1603年)およびアイルランド王国(1541年 - 1603年)のチューダー王朝の名前を借用したことによる。なお、歴史上のチューダー朝は薔薇戦争を勝ち抜き、ヨーク朝を倒して王位を得た。女系を通じてランカスター朝にも繋がる。

(チューダー朝の紋章)


(大バラ、小バラ)

(現行、新チュードルの「チュードル・ヘリテージ・ブラックベイ」)


(まとめ1)
「ロレックスチュードル(Tudor by Rolex)」とは1999年後半(おそらく1999年)まで存在したロレックス社のブランド“チュードルライン”のこと。「チュードルライン」の販売ターゲットはイギリス中間層だった。中間層をターゲットにしたことから、販売価格を下げた。
現在のチュードル社(新チュードル社)はロレックス社から分離独立した別会社で独自の「チュードル」製品を製造している。つまり、「ロレックスチュードル」は1999年で姿を消したため、市場に出回っているものはすべて中古商品となる。但し、別会社(共に非公開会社)といっても、チュードル社の株式は100%ロレックス社が保有するため、連結子会社であり、間接的な経営権や人的関係は残存する。また、チュードルの時計自体もロレックスSAで製造する。
・したがって、「ロレックスチュードル」はロレックス製だが、2000年以降のチュードルは、ロレックス製ではく、(独立した)新チュードル製になる。
・「ロレックスチュードル」はすべてロレックス社の製造によるもの。当時、ロレックス社での「ロレックスチュードル」の位置付けは、ロレックスの「最安値ライン」だった。製品価格を安くするためにキャリバーに自社製品ではなくETA製を搭載した。その他の(オイスター)ケース、竜頭、ブレスレットはロレックス製(但し、ブレスはロレックスとスタンプされたものとチュードルとスタンプされたものの2種類があるが、どちらもロレックス製)を流用してコストカット。なお、針、風防(サファイアグラス)についてはロレックスはすべて外注。
・「ロレックスチュードル」はロレックス製のオイスターケースを使用していることを示すため、裏蓋には"Original Oyster Case by Rolex Geneva"と王冠マーク(ロレックスのロゴ)が刻印されている。また、竜頭には王冠マークのサインがある。ETA製キャリバーは「ロレックスチュードル」用の特製で、ETA社から購入することはできない。キャリバーにはチュードルの盾マーク(チュードルのロゴ)が刻印されている。なお、竜頭のロゴ下の3つの点は防水のトリプロック、線はダブルロックの証。
・ロレックスチュードル・サブの特徴はメンズ、ボーイズ、ミニ、レディースとサイズが豊富なこと。ケースサイズを大きい順に並べると、メンズ(39.3mm)>ボーイズ(36.4mm)>ミニ(32.5mm)>レディース(27.0mm)となり、ロレックスにはないサイズバリエーションが楽しめる。

(まとめ2)
「ロレックスチュードル」の時計はロレックス社によって1990年代後半まで製造された。1990年代後半にチュードル社とロレックス社は分離し、両社は別会社になった。そのため、2000年以降は、チュードルの時計は新チュードル社製であり、ロレックスの時計はロレックス社製となる。したがって、「ロレックスチュードル」は中古しか存在せず、現存数がロレックスよりもはるかに少ないため、今後(特に良い個体は)希少価値がでてくると思われる。

(まとめ3)
・「ロレックスチュードル」は「ロレックス」の弟分として1930年代に登場。
・「ロレックスチュードル」のロゴは4種類。イングランドの名門チューダー家の紋章を図案化した「デカバラ」、次が「チビバラ」、「盾バラ」、「盾」となる。ロレックスの創立者ハンス・ウイルスドルフが死去(1960年)したのを期に1970年代以降は「バラ」のトレードマークは「盾」に変更され、現在に続く。
「バラ」から「盾」へのロゴの単純化はコスト削減が理由。繊細な仕上げが施されるデカバラはコストがかかる。そして、同時にコストカットのためにロレックスのパーツを流用し、ETA製キャリバーを搭載して組み立てた。なお、盾マークのロゴには、アプライド仕様やプリント仕様が存在し、位置もモデルによって異なる。ETA製キャリバーに関しては、基本的には機能のチューンナップはしていない。ただ、ローターに関しては独自のものを使用しているモデルもある。
・日本には正規代理店なし。理由はトップエンドの日本市場で「ロレックス」のブランド強化と販売に力を入れたため。つまり、安い「ロレックスチュードル」の販売増が高い「ロレックス」の販売をクラウドアウトすることを恐れた。
・但し、チュードル社の独立により、日本に正規代理店を出すのはすでに時間の問題だろう。米国ではすでに正規代理店が出店している。「ロレックス」と「チュードル」は別会社となったが、強力な資本・人的なコネクションが存在するのが、現在、トップエンド市場の日本市場に正規代理店を出さない理由と妄想する。

(ロレックスチュードルの製品ライン)
「プリンス・オイスター・デイトデイ」/ロレックスの「オイスター・パーペチュアル・デイデイト」に対応、もちろんデイジャスト機能付き。
なお、デイトジャスト(日付が一瞬で変わる)については、ロレックスはカム式、チュードルは ジャンパー式。
「プリンス・オイスター・デイト」/ロレックスの「オイスター・パーペチュアル・デイトジャスト」に対応。もちろんデイジャスト機能付き。
(左:「プリンス・オイスター・デイトデイ」、右:「プリンス・オイスター・デイト」)


「サブマリーナ」/ロレックスの「サブ」に対応
「レンジャー」/ロレックスの「エクスプローラー1」に対応
「クロノタイム」/ロレックスの「デイトナ」に対応
☆すべて、ディスコン。

例えば、ロレックス「デイデイト」はロレックスの中でも最高級機の位置付けで価格が高騰した。そのため購入しづらい。そうしたなか、「ロレックスチュードル」の「プリンス・オイスター・デイトデイ」には大変な割安感がある。
新チュードル社はそれを意識し、独自色を出すため、近年、「プリンスデイト」/「デイトデイ」のラインを「グラマー」に入れ替え始めた。新チュードルのブランドが強化されるだけでなく、「ロレックスチュードル」にも注目が集まるだろう。

(割安感)現在(2015年)、コンディション次第だが、デイトジャスト中古は5000~7000ドル前後、デイデイト中古は1万ドル~5万ドル以上。対して「ロレックスチュードル」のデイトジャスト中古は800~1700ドル程度、デイトデイ中古は1100~5000ドル程度。「なんだ、少々小さいがロレックスと同じじゃん」「中身がインハウスのCal.じゃなくて、ETAのほかは・・」というのが大多数の感想ではないだろうか。珍品「ロレックスチュードル」だが、まだ割安感は強い。

(イメージ図)ロレックス社の各製品ラインの安い普及品部分(黄色)の部分が「ロレックスチュードル」。ロレックス社は「ロレックスチュードル」ブランドを使って、ドレス系からスポーツ系まで広く普及品を出した。



(ケースサイズについて)
現在はいわゆる「デカアツ」ブーム。ロレックスも大型化が進行しつつある。
しかし、20世紀前半は全く事情が異なった。20世紀前半、男性用時計のメンズサイズのケースは30~32㎜、ミドル(ボーイ)サイズは約28mmだった。「カクテル」サイズや「レディース」サイズはさらに小さい(最小は12mm)。
「マッチョブーム」から始まったデカアツブームはまだ20年の浅い歴史しかない。「デカアツ」はずっと続くのか?

一方、現在、欧米ではセイコーのSARB0033/35が人気を集めている。セイコーのカクテルタイム(SARB065)がももう少し小さければ買うのにという声が時計好きのなかに多い。セイコーのドレス・エレガント系琺瑯ダイヤルのプレサージュライン(SARX019等)も同じで、セイコーの技術力があればもう少し小さくできるはずなのにと惜しむ声が多い。一方、2000年発売の復刻ローレルは小ぶりだった。
NINJA300はデカアツブームは終わりに向かっているおり、今後は多様化を予想している。なお、SARX019が36-38㎜だったら私は買うと思う。(笑)
そうしたなかで「ロレックスチュードル」のドレス系、つまり「プリンスオイスター」ラインの「デイトデイ」と「デイト」は、小ぶりなダイヤルが好みの方にお勧めしたいと思ったのが、当知恵ノート作成の動機の一つでもあります(でも好みは人それぞれなので・・・)。

(スイスメーカーのETA採用について)
もともと、ロレックス社のETA製エボーシュ採用は、ロレックスが高級時計だったために、イギリス向けの低価格帯ライン「ロレックスチュードル」を創るためだった。
その後、1970年代にスイス時計業界は「クオーツ危機」に揺らぐ。危機に際して、スイス時計協会はETA採用によるコストダウン(要は「カルテル」)で対応したが、ロレックスはマニュファククチュールを決断した。その理由は、なんということはない、ロレックス社にはすでに「ロレックスチュードル」というETA採用ラインがあったためだろう。
(現在、ETA製キャリバーを採用している時計メーカー)
ブライトリング、クロノスイス、フランクミュラー、フォルティス、ハミルトン、IWC、ロンジン、ミューレ・グラスヒュッテ、モバード、オフィチーネ・パネライ、オメガ、オリス、タグホイヤー、ティソ、スウォッチ ジン、そしてチュードルなどがETA使用。

オーバーホール(OH)について
現在のロレックス修理〝お見積もり〟…について検証する。

ロレックスチュードルの特徴・見分け方
製造年は1999年まで。1999年以後の製造年はロレックス製造ではなく、「ロレックスチュードル」ではない。ただの(独立した)新チュードルである。ただ、新チュードルのマーケティングコストはロレックスチュードルの価値を上昇させる役割を果たすだろう。
裏蓋に"Original Oyster Case by Rolex Geneva"とロレックスの王冠マークが刻印されている。また、竜頭に王冠マークのサインがある。
・ブレスレットはロレックスでもチュードルでもどちらでも問題なし。ロレックスチュードルは両社によって製造されたものだから。
・リダンの場合、ダイヤルにはチュードルのマークがなければならない。
・キャリパーはETAがロレックスチュードル用にデザインしたもので、ローターにチュードルのスタンプがなければならない。ロレックスのスタンプの場合はニセモノ。

(「デイトデイ」の各部)


(その他)
・「ロレックスチュードル」の純正ブレスは14Kのメッキ。ベゼルは無垢14K。一方、新(独立した)チュードルのそれはブレスが無垢の18Kメッキ、ベゼルが無垢18Kにグレードアップした。但し、18Kの方が柔らかく傷が着きやすいという欠点もあるし、巻きブレスの方が風情があるという人もいる。但し、巻きブレスの14Kメッキは経年劣化が早く、ジジー臭いので(別保存して)革バンドに取り換えて楽しむことをご推奨します。なお、ロレックスチュードルの時代のロレックスの純正ブレスは無垢14K、「ロレックスチュードル」はブレスが14Kメッキの分、安く販売できた。つまり、中古市場で無垢14Kのロレックスブレスを購入して着用することも可能。
・ベゼルはYG(イエローゴールド)、WG(ホワイトゴールド)とSS(ステンレス)がある。YG、WGはSSより輝きがいいが、長期的に保存が良いのは(ゴールドより)硬いステンレスの方。前述のように、YG、WHは「ロレックスチュードル」が14K 、(独立後の)新チュードル社製が18K。いずれも無垢。
・ロレックスチュードルはプラ(アクリル)風防が多いが、一方、新しいチュードルはサファイヤガラス風防。一般にはスペックアップだが、プラ風防の方が風情があり好きという人もいるので「好き好き」だろう。


シリアルナンバーによる製造年判定
・ロレックスチュードルの「プリンスオイスター」ラインについて(調査中)

(有名なチュードル関連ブログ)
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最近気付いた点は、自分が永遠に"a bud looking for bloom"であり、「捨石(a stepping stone)」であるということです(2015/03/26)。

☆☆☆ムーンフェイズ/月齢☆☆☆




☆☆フライング・トゥールビヨン☆☆



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※データ記載には注意を払っていますが一人で書いておりますので、間違いが全くないというわけはないと思います。若し、間違いにお気づきになられた方はご一報いただければ幸甚です。また、ご承知のように、投資は全て自己責任ですので当ブログは一切責任を負いません。

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なお、プレビューは天龍寺の雲龍画。日本は「龍国」です。
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