ベトナムのマサングループ(MSN)
プロコンコは1991年設立の仏・越合弁企業、ベトナムでは豚・鶏・牛・アヒル・魚・エビ用の家畜飼料としてのブランド力(「コンコ」)が強く、2002~2007年まで国内シェアの50~60%を占めていた。サプライチェーン構築やマーケティング、販売までを一貫して行い、ベトナムに約475ヵ所の代理店を抱えている。
MSNは、プロコンコへの大型出資で家畜飼料市場に初めて進出することになる。MSNの食品関連事業のサプライチェーンはこの他に、「しょうゆ・ニョクマム(魚醤)・ソースなど液体調味料」、「粒状調味料」、「インスタントラーメン」、「コーヒー」と多岐に渡る。2010年末時点で、子会社マサンコンシューマーの全国シェアは、醤油80%、ニョクマム74%、高級インスタントラーメン40%を占める。
また、MSNは子会社にベトナムで総資産ベースで第3位のテクコムバンクを保有、さらにタングステン(6000トン)・ホタル石(19万6000トン)・銅(5600トン)などの鉱山採掘事業も行う。
業績は不況下にも関わらず強いのだが、第三者額面割り当て増資(1億4180万株)やCBの株式転換(3092万株)で株式希薄化したことについて、既存株主への配慮が無い。現在の発行済み株式数が6億8728万株だから、5億1456万株から33.6%と大きく希薄化したことになる。先進国市場ではちょっと考えられない、新興国独特の企業だ。また、情報公開(IR)が極めて悪く、株主軽視の傾向がみてとれる。こういう会社への投資判断はとても微妙だ。